
税理士による失敗事例3
相続税の節税対策を税理士に相談するのは、正しい対策をするにあたり重要です。しかし、相続事例の経験が豊
富な税理士なら、当然しかるべき配慮がされるような事例について、無知な税理士が対応すると、とんでもない
ことになることもあります。今回はそのような失敗事例を紹介します。
1.事例
相続財産となる不動産の登記事項証明書を見ると、なんと複数の不動産の登記記録において、家族共有名義とな
っていました。しかも、その持分割合も一定ではなく、ある土地は母が5分の3で、残りを次男と長女が5分の
1ずつ、また別の土地は母が2分の1で、残り2分の1を長男というように、複数ある不動産が、複雑な家族共
有名義となっていました。
なぜ、こんな登記になったのかと言えば、数年ほど前に父が亡くなった際に遺言がなく、どのように相続遺産の
分割手続きをしようかと家族で話し合いましたがまとまりませんでした。そんなときに、母が、知り合いの税理
士に相談したところ「相続税がかからない範囲で、とりあえず法定相続分で分けてしまえばいいのではないか」
とアドバイスされ、その税理士の言葉を鵜呑みにしてしまい、このような相続登記をしてしまいました。
そして、今年の初めに母も亡くなり、1年も経とうとしているので、遺産分けの話をしなければと思い兄弟姉妹
で話し合いを始めましたが紛糾しています。
2.問題点
相続税対策だけを考えて、節税の知識だけの判断からアドバイスした、経験のない税理士の犯した過ちです。父
が亡くなったときに、そのとき相続税がかからないからという理由だけで、実体関係に合わない登記関係を勧め
てしまい、近い将来、母が亡くなることで、再び相続が発生して、利害や思惑が対立することが想定できる相続
人同士(兄弟姉妹)を共有名義人にしてしまうアドバイスは、無責任であり、無知です。
税理士には、どうしても相続「税」対策ばかりに関心がいってしまい、相続人(相続する人)の身内の人間関係
には気を配れない人や、関心のない人もいます。こんな対応をする税理士が相続業務に携わることは、一般の市
民にとっても迷惑この上ない話です。
3.対策
相続に関する法律専門家複数の意見を求め、その中で、もっとも相続人の利害調整に理解のあると思える税理士
を選ぶようにしなければなりません。相続は「税」だけが問題ではなく、残された家族そのものの問題でもある
のですから、相続に詳しい、経験豊富な税理士を選ぶ必要があるのです。
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